抄録 | 全日本高校選抜合宿は, 将来が期待されている優秀な高校男子バレーボール選手を対象に行ないこの合宿に参加した選手を対象とし, 体力の現状分析とトレーニング計画立案のための資料を得る研究で, 筋力, 敏捷性, 柔軟性を中心とする 15 項目の体力測定を実施し, 世界一流チームである全日本代表チーム選手及び関東高校選抜選手の測定値と比較検討した。その結果は次のとおりであった。1) 筋力パワーについて, 全日本高校選抜選手は, 3回跳, 垂直跳, ブロックJ, ランニングJで , 毎年明らかに伸びている傾向が認められた。また最も優秀な昭和51年全日本高校選抜選手と全日本代表選手と比較し, 3回跳, 垂直跳, ブロックJ, ランニングJは明らかに劣り, 関東高校選抜選手に比較し全項目で優れ危険率1%以下で有意差が認められた。2) 敏捷性については, 9m 3 往復走のみ毎年著しく発達している傾向で, サイドステップ, 20疾走では明らかな差は認められず, 全日本代表選手と比較し9m 3往復走, 20m疾走で著しく劣るほか, その他についてもやや劣る傾向が認められた。関東高校選手に比較すると, サイドステップ9m 3往復走で優れ危険率1%以下で有意差が認められた。3) 柔軟性については, 体前屈度で昭和48年, 51年が比較的優れ, 体後反度で明らかな差は認められなかつた, 全日本代表選手と比較し体前屈度でやや劣り, 体後反度で明らかに劣り危険率1%以下で有意差が認められ, 関東高校選抜選手と比較し, 体後反度でやや劣り, 体前屈度でやや優れた危険率1%以下で有意差が認められた。4) 以上の結果から, 全日本高校選抜選手の体力は, 全体的に毎年発達傾向で, その中でも, バレーボール選手に最も必要とされている跳躍力の発達が著しい。また全日本代表選手より劣るが, 関東高校選抜選手より明らかに優れ, 全日本高校選抜選手の体力は, バレーボール選手としては, 相当高い水準になることが明らかになった。今後は能力や動きのスピードを強化すると共に呼吸循環系の持久力や調整力についても検討を加えたい。稿を終わるに臨み, 資料整理でいろいろと助言いただいた財団法人日本バレーボール協会科学技術研究部島津大宣先生(日本女子大), さらに測定にご協力下さった高体連役員諸氏には心より感謝します。 |