抄録 | 今回, Y-G性格検査の結果をもとに一輪車乗用の学習効果にどの様な影響を与えているか, またその学習によって性格特性にどの様な影響を与えているかということについて考察した結果について述べると次の通りであるが, その前に被検者を類型別に把えてみることにする。まず全体的にみると, 平均的また理想的な性格特性の人が多く, 次いで非理想的な性格特性の人が多いことを示している。また分散学習班・集中学習班別にみると, 分散学習班については, 全体と同様であるが集中学習班については, 平均的又理想的な性格特性の人が多いことは同様であるが, 非理想的な特性を持つ人は男子には無である。以上で被検者の類型の割合が把握できたので次に類型別に可否比較してみると, まず「可」の人が一番多い類型は理想的なD類型で, 「否」の人が一番多い類型は非理想的なE類型である。そして他の類型の結果からいえることはC類型の様におとなしい性格特性を持つ人よりもB類型の様に積極的な性格特性を持つ人の方が, 練習効果を大きく上げていることがわかった。尚, A類型の様な平均的性格特性の持ち主は, 他の要素である素質・環境利点とうまく結合した場合は効果を上げるという個人差をあらわしている。そして性別から把えてみると, 男子については, 以上と同様な結果を示しているが, 女子については必ずしも同様な結果は得られなかった。D類型やE類型については男子と同様であるが, A類型については圧倒的に「否」の人が多く, B類型やC類型については, 「可」も「否」も差はみられなかった。以上の結果からいえることは, 少なからず性格特性は練習効果に影響を及ぼし, 良い性格特性の持ち主は当然良い結果に導びく可能性を十分生かし, 成功に結びつけていることがわかった。次に集中学習班を重点的に把え, 実験前と実験後の性格検査の結果を比較し, 各因子ごとに実験前後の移動をみた結果について要約すると, 実験後の各因子の得点が良い方向に移動している傾向が大きく, 全因子の2/3を占めている。そしてそれらの因子の傾向をみると, 一輪車乗用の学習効果がどの様にあらわれているかについて明らかにされ次の様な良い結果を得ている。まず, 劣等感が少なくなり, 協調的になり, 活動的でなお外向的であるというそれぞれの因子に影響を与えている。また, 実験終了時において, 乗用不可能という成績を得た人も決して劣等感を持ったり, 消極的になったり, 内向的になるなどという結果はみられず, むしろ, 劣等感は少なく, 協調的で, 活動的になり, 外向的になるという良い結果を得ている。以上のことからいえることは, やはり性格特性は一輪車の乗用に運動能力と並んで大きく影響を及ぼし, 練習効果を上げ, 尚かつ乗用のための学習過程において乗用可能者も乗用不可能者においても, 精神的に大きな学習効果を上げているという事が確認された。この結論を得ていえることは, 体育実技の教材として導入したこの一輪車の学習は, 身体的にも精神的にも大きな効果を上げることが認識され今後の指導方法にもこれらの結果を十分生かし, さらに良い結果を得る様努力したいと考える。 |