抄録 | 今回対象者が選択者のみのため, サンプル数が各グループとも100名程度と前回までと比較して少ないが, むしろ, 積極的に取り組んでくれて, 「前期開始」より身体持久力が高いレベルにあり, 回を重ねるに従ってトレーニング効果を顕著に示す結果を得ることができた。身体効率指数が上昇することは, 効果を上げているということであるが, それだけでなく, 「前期開始」時の値, つまりベースとなる値からトレーニングの実施により, どれだけ, 伸びを見せたかに注目され, 結論的にはベースとなる値が低い者の伸び率がより大きいことを示し, また, 急激に伸びを見せた者が低下を示す場合は, 低下する率も大きいことを示していることが証明され, そして平常脈へのトレーニング効果については, 長期間のトレーニングを必要とし, 運動終了後の脈拍についても, 同一負荷を同一時間与えた結果やはり, 能力の低い者程伸びを見せ, 今回1年間のトレーニングにより, 全ての学部において「前期開始」時においては, 運動終了後3分~3分30秒つまり3回目の脈拍を採取した結果, 平常脈の70~75%の回復率であったものが「後期終了」時においては, 平常脈の88~98%の回復率を見せて, 週1回, 高さ35cm及び40cmの台の昇降運動を120/分のテンポでたった3分間続けるといったトレーニングでも, 一般学生には, 循環機能への充分な刺激を与えることができ, 身体持久力の増進への役割を大きく果たしているという証明を得ることができた。尚, 最大酸素摂取量簡易テストの結果からは, 全体としては, VO_<2max>100%に値する距離において, 1回目の測定値よりも2回目の測定値の方が距離が伸びている者が約57%で距離が維持及び減少している者が, 43%と, 学部別に見ると減少しているのが「理・薬女子」のみという結果で, また5段階評価を見ても「劣る」に近い「やや劣る」から「普通」に限りなく近い「やや劣る」の位置に移動しているので, 方向としては良い方向に向いていると考えて良いのではないかと評価しているが, 踏台昇降運動テストの結果からの脈拍の回復率のように絶対的な効果を得ているという確信を持てたか否かについては, そうであるという自信を得るまでには至ることはできなかった。つまり最大酸素摂取量の簡易テストは, 集団で行った為に, 3分間の歩行及び走行を各テンポに合わせて実施させてはいたものの, 歩幅の大きさ等については, 各学生の要求度によって, 多勢の流れに任せてしまうか否かで, 微妙に変化し, 測定値に大きな影響を与えるということを, 充分に理解させてテストに望ませることが, 重要なポイントであるのではないかと反省している点から絶対という自信が持てないところである。また短期間のトレーニングでは, 平常脈と同様に充分な効果を得るには, 不充分であるのかも知れないので, 今後, このトレーニングをどの位の期間持続させれば, 平常脈及び最大酸素摂取量にトレーニング効果を顕著に示す結果を得ることができるか, ということを今後の課題にしていきたいと思う。 |